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講義科目名 科学技術イノベーション政策立案演習 
科目ナンバリングコード KED-SSD6334J 
講義題目
科学技術イノベーション政策立案演習 
授業科目区分 展開科目 
開講年度 2023 
開講学期 後期 
曜日時限 後期 水曜日 6時限
必修選択 選択 Elective 
単位数
担当教員

ソン・ジュンウ

開講学部・学府 大学院基幹教育科目 
対象学部等 全学府 All Graduate School 
対象学年 大学院生 Graduate Students 
開講地区 伊都地区
その他
(自由記述欄)
第1回目はガイダンスのほかに演習の進め方や課題について説明を行う。履修を検討している者は必ず出席すること。また、ディスカッションをメインとする演習形式の授業であるため原則、対面での参加が望まれる。 



履修条件
特に無し 
授業概要
科学技術イノベーション政策は様々な関連社会集団を説得し、その協力を得る必要があるということを念頭に置きながら、政策とそのエビデンスを受け入れ、評価する幅広いステークホルダーの視点を具体化して、その視点から政策を再検討する演習を行う。政策の対象となる科学技術に関わるステークホルダーの範囲を定め、それぞれのステークホルダーが負うコストと得るメリットを分析し、その分析結果に基づいて社会的合意形成のための戦略を立てるという、政策立案に伴う一連の過程は、政策立案者の視点にとらわれやすい。対象の科学技術に関わる政策課題とはなにかを決め、政策手段に伴うコストとメリットとはなにかを定義し、なにをイノベーションと見なすかを判断するステークホルダーの多様で多層的な価値体系・意味世界・認識スキーマなどを単純化してしまう可能性は常に警戒する必要があり、合意形成に必要なエビデンスの種類と採否を決める基準もステークホルダーによって異なり得て、単に根拠の客観性のみを考慮して行う説得は成功し難い。政策立案者の言葉ではない「現場の言葉」で、政策立案者の合理性ではない「他者の合理性」を理解する演習を通じて、社会的合意形成まで視野に入れた政策立案能力を習得する。

 第1部の理論パート(第1-3回目)では、科学技術イノベーションに関連社会集団やユーザーの視点から接近し、イノベーション過程と社会的合意形成過程の相互作用を分析している様々な学術研究について学習する。更に、科学技術イノベーション政策のステークホルダーが政策とそのエビデンスを受け入れ、評価する基準の多様性と多様性に対する理解を深めるための基礎知識も習得する。

 第2部の演習パート(第4-8回目)は、科学技術イノベーション政策に関わる様々なステークホルダーの価値体系・意味世界・認識スキーマ・評価基準などを、「現場の言葉」を覗き見ることができる事例と資料を通じて直接確認することを目的とする。「エネルギー・環境の選択肢」及び「第6次エネルギー基本計画」に関する意見聴取会と意見箱、そしてパブリックコメントから収集された「現場の言葉」の演習用の資料として用い、政策課題と関連社会集団の範囲・コストとメリットの意味・良い政策立案または合意形成過程に期待される条件などを政策立案者の視点からではなく、ステークホルダーの視点に立って分析する作業に伴う理論的・実践的難点を直接経験する。

 最後の第3部(第9-14回目)では、様々な分野の専門家を外部講師として招聘し、政策立案および評価の過程にステークホルダーの視点と「現場の言葉」を織り込むために用いることができる分析手法を紹介する。政策目標と政策手段の関係を明確にし、政策を構成する様々な施策の役割を明瞭にモデル化する過程を、ステークホルダーの視点から再検討するために用いられる手法を学習する上に(ロジックモデルとメタ評価)、言説分析とワークショップ研究、そしてエスノグラフィーという、ステークホルダーの視点を示す「現場の言葉」を収集・分析するための手法も学ぶ。 
Assuming that science, technology, and innovation policies require persuading various social groups and obtaining their cooperation as stakeholders, students will learn how to give a concrete, rather than simplified, shape to the stakeholder's perspectives to set and use those perspective as a reference point for policymaking. While policymakers always devote their efforts to delimiting the boundary of stakeholders, analyzing what are the costs and merits that will shape each stakeholder's behavior, and using the result of the stakeholder analysis to devise strategies for consensus-making, such efforts are prone to simply reproducing the policymaker's simplified expectations of the stakeholders. Policymakers need to avoid simplifying complex and heterogeneous values systems, epistemic cultures, and interpretive schemes that the stakeholders mobilize to delimit the boundary of relevant policy problems related to a given technology, interpret what the cost and the merit mean, and define what could be taken as innovative. Furthermore, what kind of policy evidence is needed and what defines persuasive policy evidence can vary depending on stakeholders that the policy maker is trying to persuade, and persuasion relying solely on the objectivity of evidence is unlikely to succeed. This lecture provides students with an opportunity to practice collecting and analyzing the languages of stakeholders themselves, instead of relying on the languages of policymakers, to understand the rationality of those stakeholders that differs from the rationality of policymakers based on different kinds of values systems, epistemic cultures, and interpretive schemes; thereby, this lecture aims to enhance the students' capacity to integrate stakeholders perspectives into policymaking to achieve consensus-making. 
授業形態
(項目)
■ 講義・演習
□ 実験
□ グループワーク・ペアワーク
□ 学内外実習
□ プレゼンテーション
□ ディスカッション
□ PBL/TBL 
授業形態
(内容)
講義・演習形式で行う。受講者には、演習の各段階に応じて演習課題の提出が求められる。演習は、課題の内容を共有し、その内容に基づいてディスカッションを行う方式をとる。講義中、またはディスカッション中、資料を直接確認する場合があるため、PCは毎回持参すること。 
使用する教材等
板書、テキスト(紙媒体)、スライド資料(電子媒体) 
全体の教育目標
科学技術イノベーション政策に関連する様々な社会集団の視点を踏まえた上で政策を立案し、ステークホルダーの協力と政策需要者の支持を得られる方式での政策提言ができる能力を身につけることを目的とする。 
個別の教育目標
科学技術イノベーション政策の評価基準としてステークホルダーの視点を単純化せずに理解し、政策に「現場の言葉」を織り込む作業の理論的・実践的問題に関する理解を深める。政策のステークホルダーが持つ多様で多層的な価値体系・意味世界・認識スキーマ・評価基準を具体化できる基礎知識と考え方を養う。 
授業計画
外部講師との日程調整の結果に応じて授業の順番を変更する場合がある。

第1回(10/11)  ガイダンス―STI政策立案の新しい流れが示しているものは何か。 (ソン)
第2回(10/18)  科学技術イノベーションと社会的合意形成-STSの視座から何を学ぶか。 (ソン)
第3回(10/25)  EBPMと社会的合意形成-エビデンスは、合意形成の十分条件か。 (ソン)
第4回(11/1)  演習(0) 事例と資料の紹介 (ソン)
第5回(11/8)  演習(1) ステークホルダー(または政策課題)の範囲をいかに定めるか。 (ソン)
第6回(11/15)  演習(2) ステークホルダーの代表性をいかに判断するべきか。 (ソン)
第7回(11/22)  演習(3) ステークホルダーにとって「便益」とは何か。 (ソン)
第8回(11/29)  演習(4) ステークホルダーは「政策」に何を期待しているか。 (ソン)
第9回(12/6)  政策評価の手法(1) ロジックモデル (政策研究大学院大学 林隆之 先生)
第10回(12/13) 政策評価の手法(2) メタ評価 (政策研究大学院大学 林隆之 先生)
第11回(1/10)  モバイルテクノロジーとワークショップ研究 (ソン)
第12回(1/17)  先端科学技術と言説分析 (国際基督教大学 山口富子 先生)
第13回(1/24)  イノベーションとビジネス・エスノグラフィー (北陸先端科学技術大学院大学 伊藤泰信 先生)
第14回(1/31)  講義の総まとめ (ソン)
第15回(2/7)   住民参加のパラドックスとエスノグラフィー (外部講師) 
キーワード
政策立案、政策評価、社会的合意形成、ステークホルダー 
授業の進め方
上記「授業形態」(内容)に同じ。 
テキスト
特に指定しない。 
参考書
必要な資料・文献をその都度紹介・配布する。 
学習相談
メールと面談にて行う。メールによる質問は随時受け付けるが、返信には最低1日の期間を頂く場合がある。面談はメール等にてアポイントを取ること。 
試験/成績評価の方法等
ディスカッション・授業態度(20%)、演習課題の提出(10%×5=50%)、書評(30%)。 4回以上の欠席は不可とする。 
その他
添付ファイル
更新日付 2023-12-15 14:45:48.405


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