履修条件
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授業概要
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水素利用システムの要素である材料や反応プロセスを設計・制御するための基礎を、わかりやすく概説します。
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This lecture introduces fundamentals to understand hydrogen utilization processes including materials issues, reactions, and their control.
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授業形態 (項目)
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講義・演習(遠隔講義)
本講義の履修登録者は、Moodle上での履修登録もご確認ください。5月4日までの履修登録者はMoodle上の「参加者」リストにも加えておきました。ですが、それ以降の履修登録者はMoodle上への登録も忘れずにお願いします。
毎回の講義出席は、Moodleの本講義サイトへのWebアクセスなどで自動で記録されます。遅れると欠席などに扱われます。
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授業形態 (内容)
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なぜ、地球温暖化対応や脱炭素化に向けて、「水素エネルギー」が注目されているのでしょうか?機械系や化学システム・材料科学、エネルギー工学関連の学部出身者等を対象とし、熱力学や材料学などの基礎から出発して、機能材料や化学反応が関わるプロセス、電気化学などのエネルギーシステムを設計するために必要な基礎学理を身につけます。それらが、燃料電池や水素製造などの水素エネルギー技術の理解にどのように役に立ち、どのような社会の実現に貢献できるのか考えます。
Why hydrogen energy is receiving increasing attention for solving global climate crisis and de-carbonization. For students with backgrounds of mechanical, chemical, materials, and other energy-related engineering, this lecture starts from thermodynamics to explain chemical thermodynamics, chemical equilibria, chemical kinetics, and electrochemistry. Students learn such fundamentals to understand various hydrogen-energy-related processes including fuel cells, hydrogen energy systems, and related technologies.
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使用する教材等
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全体の教育目標
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機械系や化学システム、エネルギー工学関連の学部出身者等を対象とし、熱力学や材料学などの基礎から出発して、機能材料や化学反応が関わるプロセス、電気化学などのエネルギーシステムを設計するために必要な基礎学理を身につけます。また、これらが燃料電池や水素製造等の水素エネルギー技術にどのように役立つかについても考えます。
For students with backgrounds of mechanical, chemical, and/or materials engineering, this lecture starts from thermodynamics to explain chemical thermodynamics, chemical equilibria, chemical kinetics, general and solid state electrochemistry. Students learn such fundamentals to understand various hydrogen-energy-related processes including fuel cell reactions and hydrogen production.
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個別の教育目標
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水素技術の全体像や将来性・発展性、直面する技術課題について理解を深めた後、機械系学部で通常あまり学ばない機能性の材料学、熱力学平衡論、反応速度論などの表面反応を伴うミクロなプロセスなどに関する理解を深め、それらが機械系学科で勉強した熱力学などを基盤として理解できることを示します。最後に、これらが水素技術はもちろん、多様なエネルギーシステムや先端技術などを考える上でも役に立つ、普遍的な基礎学理であることを実例も踏まえて理解してもらいたいと考えています。
Students will understand fundamentals in hydrogen energy, based on mechanical engineering background.
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授業計画
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(1)エネルギー資源と水素 【5月11日(月)5時限目(佐々木)】 九州大学はなぜ大学を挙げて水素エネルギーに関する研究教育に取り組んでいるのでしょうか?本講義ではまず、日々使っているエネルギーの中で、脱炭素社会実現への切り札として期待されている水素エネルギーの位置づけを理解します。(教科書:「基礎化学」第7.4章)
(2)物質の結合と状態 【5月18日(月)5時限目(佐々木)】 エネルギーシステムを設計するために欠かせない材料に関する基礎である、結晶構造、原子構造、化学結合などについて復習します。(教科書:「基礎化学」第2-4章)
(3)化学熱力学 【5月25日(月)5時限目(佐々木)】 産業革命を引き起こした熱機関を理解するために生まれたエネルギーに関する学問が「熱力学」ですが、熱機関だけでなくあらゆる化学的な変化を表す普遍的な基礎学理に進化しています。エンジンやタービンなどの熱機関が燃料を燃やす「熱エネルギー変換」であるのに対し、燃料電池は燃料を燃やさずに電気に直接換えて使う「電気化学エネルギー変換」です。熱力学が化学変化にどのように当てはめられるのか、それを表す「化学熱力学」という考え方を学びます。(教科書:「基礎化学」第5.1章)
(4)化学平衡 【6月1日(月)5時限目(佐々木)】 熱力学は、世の中の化学変化がどちらに向かうのか、その行きつく先である平衡状態を教えてくれます。自然界の自発的変化の方向を熱力学でどのように示せるのか、学びます。(教科書:「基礎化学」第5.2章)
(5)化学反応 【6月8日(月)5時限目(佐々木)】 自然界の状態変化は、平衡論だけでは理解できません。例えば、ダイヤモンドはグラファイトより熱力学的には不安定ですが、ダイヤモンドは準安定に存在し続けます。熱力学から出発して化学反応をどのように理解するのか、化学平衡論と比較しながら考えます。(教科書:「基礎化学」第5.3章)
(6)電気化学:基礎 【6月15日(月)5時限目(佐々木)】 化学反応には電気が関わる反応があります。例えば、乾電池の中での化学反応に伴って電極から電流が流れ出します。化学反応の考え方の中に、化学種とともに電荷担体(電子やイオン)をどのように組み込むかについて学びます。(教科書:「基礎化学」第6.1~6.4章)
(7)電気化学:応用 【6月22日(月)5時限目(佐々木)】 電気化学は、電動化が進む自動車をはじめ、あらゆる分野で重要になってきます。2019年にはノーベル化学賞も電池の分野で授与され、機械系や化学・材料系の学生さんの中でも、将来、蓄電池を搭載する電気自動車や燃料電池を搭載する燃料電池自動車などの研究開発に関わる人が増えてくると思います。電気化学を基礎とする各種電池について、学びます。(教科書:「基礎化学」第6.5~6.7章)
(8)電子伝導体 【6月29日(月)5時限目(佐々木)】 電池には必ず一対の電極が付いています。電気を作ったり使ったりするエネルギーシステムの中では、電極を含め、電気が流れる材料が必ず使われます。まず、電子が流れる材料について、学びます。(教科書:「基礎化学」第3.8章など)
(9)イオン伝導体と欠陥化学 【7月6日(月)5時限目(佐々木)】 電池の中には、電子が流れる「電子伝導体」とともに、イオンが流れる材料である「イオン伝導体」が中核材料として必ず使われます。イオンが流れる材料について学ぶとともに、電子やイオンなどの材料中の電荷担体の化学平衡や化学反応を定量的に理解する「欠陥化学」という考え方を学びます。(教科書:「基礎化学」第5.6章など)
<7月13日(月)5時限目は休講>
(10)水素利用技術 【7月20日(月)5時限目(佐々木)】 本講義で学んだ水素利用工学の基礎を活かしながら、多様な水素利用技術について学びます。(教科書:「基礎化学」第6, 7章など)
(11)水素エネルギーの現状と将来展望 【7月27日(月)5時限目(佐々木)】 水素の製造から貯蔵、利用までの水素エネルギー体系を使って、どのようなエネルギー社会が将来作れるのでしょうか?今世紀後半の低炭素化や脱炭素化に向けて、世界中で進む水素エネルギーの技術開発や社会実装の現状と将来展望について考えます。(参考書:「Hydrogen Energy Engineering: A Japanese Perspective」)
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キーワード
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化学熱力学、機能材料、電気化学とその応用、燃料電池
Chemical thermodynamics, functional materials, electrochemistry and their applications, fuel cells
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授業の進め方
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スライドを使って遠隔講義(Skype for Business)を進める。適宜、講義後に小テストや課題レポートを課す。
Power point presentation slides are on the Moodle WEB site.
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テキスト
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参考書
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「燃料電池システム」、J. Larminie & A. Dicks著、槌屋治紀訳、オーム社
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学習相談
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各講師とのSkype for Business遠隔講義中のチャットやMoodle上の質問サイトを介して受け付けます。自宅待機・在宅勤務中ですので、ご不明な点は以下のメールアドレスにご連絡いただいても結構です。 sasaki(*)mech.kyushu-u.ac.jp (*)は@に変換ください。
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試験/成績評価の方法等
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出席点および小テスト・課題レポートなどで総合評価します。
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その他
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添付ファイル
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更新日付
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2020-05-08 20:29:46.549
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