シラバス参照

講義科目名 インストラクショナル・スキルズ2 
科目ナンバリングコード KED-COS5412J 
講義題目
授業科目区分 基幹科目 Core Subjects 
開講年度 2019 
開講学期 前期集中 
曜日時限 前期集中 その他 その他
必修選択 選択 Elective 
単位数
担当教員

深堀 聰子

長沼 祥太郎

開講学部・学府 大学院基幹教育科目 
対象学部等 全学府 All Graduate School 
対象学年 大学院生 Graduate Students  
開講地区 伊都地区
その他
(自由記述欄)



履修条件
・特にありません。事前知識も不要です。
・教育工学・学習科学の観点から教育・学習に関係する理論を活用して授業設計ができるようになることを目指す「インストラクショナル・スキルズ1」と合わせて受講することを推奨しますが、この授業を履修登録する上では必須ではありませんので、この授業だけ受講することも可能です。
・主として、「将来の進路として大学教員を選択肢に持っている学生」の受講を想定しています。しかしながら、高大接続に注目が集まっている現在の状況を見ると、「高校教員を目指す学生」にとっても、大学での教授法について学ぶことは有意義と考えられるため、受講を推奨します。

・ 
授業概要
 大学教員は、研究者としてだけでなく、教育者としての重要な役割を担っています。そこで、本授業では大学の授業をデザインするための基本的な理論と方法論を紹介します。
大学の授業をデザインする際には、「授業設計」「授業実践」「授業評価」、そして「授業改善」の大きく4つの段階があります。このうち、本授業では、「授業設計」としてシラバスの作成方法、「授業評価」として「考える力」や「知識の応用力」を評価するための課題やテストを作成する方法論について、理論と具体例を交えながら学んでもらいたいと思います。その後、受講生が大学で実際に教えると想定される授業で実践的に使えるように、ひとりひとりシラバスと評価を作成します。
 授業を行うとなると、どうしても、「どのように話すか」「どのようにファシリテーションをするか」といった「授業実践」に目がいきがちですが、学習者の学習への態度に影響を及ぼす割合として、実は「授業設計」と「授業評価」は非常に大きな割合を占めることが教育学研究により明らかになっています。しかしながら、授業担当者の個人的な経験では、「授業実践」を上手にできる大学教員に比べて、効果的に「授業設計」と「授業評価」を行うことができる大学教員は非常に少ないです。そのため、将来的に大学教員を目指す受講生には、是非ともこれらの方法論を身につけてもらいたいと思います。 
University faculty members play important roles not only as researchers but also as educators. Hence, in this course, the basic theory and methodology for designing and assessing university courses will be introduced.
   When designing university courses, it is important to consider the following four stages: "course design," "course delivery," "course assessment," and “course quality enhancement.” Among these four stages, this course will focus on "course design" and "course assessment." With regard to “course design,” participants will acquire the knowledge and skills necessary to develop course syllabi; with regard to “course assessment,” participants will acquire the knowledge and skills necessary to measure student learning outcomes and to make judgements about student learning. These are both practical abilities you will find useful when you actually teach in classrooms.
   When it comes to "teaching skills", we tend to focus on delivery methods such as "how to speak in front of students" or "how to facilitate group discussion." However, educational research has revealed that course design and course assessment affect learners’attitudes to learning substantially. Despite this fact, not every faculty member can effectively design courses and assess student learning outcomes. Therefore, it is our hope to prepare you as future faculty by equipping you with these practical abilities through this Preparing Future Faculty Program, PFFP. 
授業形態
(項目)
「講義・演習」「グループワーク・ペアワーク」「プレゼンテーション」 
授業形態
(内容)
講義・演習:
大学教育を取り巻く状況、授業の基本構造、効果的な授業の持つ特徴、学習への3つのアプローチについて講義をします。
また、評価方法とシラバスの概論についても説明をします。

グループワーク・ペアワーク:
各自が作成した評価方法とシラバスについて、他の受講生から意見をもらいます。

プレゼンテーション:
各自が作成した評価方法とシラバスについて、他の受講生に対して簡単なプレゼンテーションを行います。 
使用する教材等
板書、テキスト(紙媒体)、スライド資料(電子媒体)、映像・音声資料 
全体の教育目標
大学の授業における設計段階と評価段階の重要性を認識し、質の高い授業を行うために必要な実践的な知識・スキルを身につけます。 
個別の教育目標
この授業を通して、受講生には以下のことを期待します。
1. なぜ将来大学教員となるものが教授法を学ぶ必要があるのかを、昨今の大学教育を取り巻く状況の観点から説明できるようになる
2. この授業で学んだことを活かしながら、質の高い「シラバス」を作成できるようになる
3. この授業で学んだことを活かしながら、質の高い「評価方法」を作成できるようになる 
授業計画
授業は、三日間の集中講義で行います。
日時:5/11,18,25(いずれも土曜日)
場所:センター1号館 4階 1409 アクティブラーニングスペース(部屋番号に注意してください)

受講希望の方は、初回授業の1週間前までをめどに、履修登録を行なってください。
それ以降でも履修登録は可能としますが、人数把握のためにできる限り1週間前までに行なってください。

1. オリエンテーション(5/11(土)2限)
2. 授業の基本構造、効果的な授業の持つ特徴(5/11(土)3限)
3. 学習への3つのアプローチ(5/11(土)4限)
4. 評価の方法①理論編(5/18(土)2限)
5. 評価の方法②実践編1(5/18(土)3限)
6. 評価の方法③実践編2(5/18(土)4限)
7. シラバスの作成①理論編(5/25(土)2限)
8. シラバスの作成②実践編(5/25(土)3限) 
キーワード
九州大学PFFP、学習成果、学習へのアプローチ、波及効果、逆向き設計、シラバス、パフォーマンス評価、ルーブリック 
授業の進め方
【授業内学習】
 授業では、初めに大学教育を取り巻く国内外の状況に関して説明をします。次に、授業においてなぜ評価方法やシラバスが重要なのかについて、説明します。その後は、具体的な評価方法およびシラバスの作成へと進んでいきます。
 授業においては、成果物(評価方法とシラバス)に対して、他の受講生と意見交換をしていきます。ディスカッションになれていない学生も参加できるように、2名の教員でサポートしながら進めていきますので、安心して受講してください。

【授業外学習】
 シラバスや評価方法の作成は、授業時間内だけでできるような簡単なものではありません。専門分野の知識の学び直しなども場合によっては必要になると考えられるため、授業内で途中まで進めた作業を、授業外においても行うことが必要になります。
 ただし、大学教員になる以上、いずれはどこかのタイミングで行わなければならない作業であることと同時に、自分の分野を改めて俯瞰的に見る作業は「知的に楽しい」作業になると思いますので、あまり身構えずに受講し、授業外学習にも取り組んでいただければと思います。 
テキスト
授業は、パワーポイントを使って進められます。使うパワーポイントは、授業内で配布資料として渡します。
以下のURLからもダウンロードできるようにします。
https://ueii.kyushu-u.ac.jp/ 
参考書
授業で使うパワーポイントの資料は、この科目での説明用に、いくつかの書籍から重要な部分を抜粋したものです。授業担当者が読んでみてのオススメ度などを書いたので、参考にしながら是非とも一度手にとって読んでみてください。

【全般的に学びたい時】
『大学教員準備講座』夏目達也・近田政博・中井俊樹・斎藤芳子,玉川大学出版部,2010.
(オススメ度:★★★★★)
→とりあえず一冊は持っておいたら良い。コンパクトに内容がまとまっていて読みやすい。

『大学教員のための授業方法とデザイン』佐藤浩章,玉川大学出版部,2010
(オススメ度:★★★★☆)
→易しく書かれていて、読みやすい。他の書にはない特徴として、「アイスブレイク」の方法が多く書かれているため、授業の雰囲気づくりに悩んでいる場合には参照すると良い。

【シラバスに関して学びたい時】
『授業設計』中島英博,玉川大学出版部,2016
(オススメ度:★★★★☆)
→内容が濃いため、初学者には少し読みにくいかもしれないが、重要なことがしっかり書かれている。授業を一通り経験したあとで読むと良いだろう。

【評価方法について学びたい時】
『よくわかる教育評価』田中耕治編,ミネルヴァ書房,2010
(オススメ度:★★★★☆)
→「VII 学力評価の様々な方法」は、一つ一つの評価方法について詳しく書いてあるため、
評価に困った時に具体的に参照できる。ただし、初等中等教育を主に念頭に書かれている点には注意。

『大学教員のためのルーブリック評価入門』ダネル・スティーブンス+アントニア・レビ著, 佐藤浩章・井上敏憲・俣野秀典訳,玉川大学出版部,2014
(オススメ度:★★★★☆)
→大学教育にとってルーブリックがどれだけ重要に関する筆者の熱い想いが伝わってくる本。ただし、ルーブリックは万能ではないというのが授業担当者の立場なので、読む時にはやや注意が必要。

『パフォーマンス評価』松下佳代,日本標準,2007
(オススメ度:★★★★☆)
→パフォーマンス評価に関してわかりやすく書いてある本。ページ数も少なく、わかりやすく書かれているため読みやすい。ただし、小学生を対象に行われた実践であるため、4つ星の評価とした。

【具体的な授業の方法について学びたい時】
『講義法』佐藤浩章編,玉川大学出版部,2017
(オススメ度:★★★★☆)
→講義で学生がしっかりと理解しながら受講してもらうためのノウハウが書かれている。特に、「講義法に役立つ20のモチベーション理論」は、講義法で学生がなかなか関心を持って聞いてくれないと悩んだ時に参照しよう。

『アクティブラーニング』中井俊樹,玉川大学出版部,2015
(オススメ度:★★★★☆)
→アクティブラーニングというと、グループワークやプレゼンテーションが主に想起されるが、実はその方法は様々なものが提案されている。そのため、「第3部 さまざまなアクティブラーニングの方法を活用する」を読めば、多様なバリエーションでアクティブラーニングを実施することが期待できる。

『ディープ・アクティブラーニング』松下佳代・京都大学高等教育研究開発推進センター編,勁草書房,2015
(オススメ度:★★★★★)
→上級者向け。「目の前の学生が目をかがかせて学習しているのに、試験をさせてみると、どうにも思ったほど学習していない」という悩みを持った時に読みたい本。授業担当者の恩師が書いた本であり、大変オススメである。たまに機械学習のディープラーニングのコーナーに置かれていることもあるので注意。 
学習相談
担当教員に連絡を取り、行ってください。
長沼祥太郎 naganuma.shotaro.062★m.kyushu-uac.jp (★はアットマークに)
研究室は伊都キャンパスセンター1号館 4階教育改革推進本部です。 
試験/成績評価の方法等
試験は行いません。授業内で作成してもらうシラバスおよび評価方法を、添付ファイルのルーブリック(近日中にアップロード予定です)に従って評価します。 
その他
添付ファイル
更新日付 2019-05-10 20:22:58.537


PAGE TOP