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授業のテーマ
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授業の内容(90分授業=2時間)
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事前/事後学修の内容
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対面 「オリエンテーション」 野々村淑子 「ジェンダー研究、セクシュアリティ研究とは何か」 井上智史
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「オリエンテーション」 履修について説明します。
「ジェンダー研究、セクシュアリティ研究とは何か」 ジェンダーの概念は1970年代に社会科学を中心に学術用語として広く定着し、以来、ジェンダー研究は様々な学問領域において、領域横断的に展開してきた。言い換えれば、今日、ジェンダーに関する視点はあらゆる学問領域において欠かすことのできないものになっている。第1回講義ではジェンダーという概念やジェンダー研究の歩みについて学ぶ。また、人間の性のあり方を総体的に捉えるセクシュアリティの概念について確認し、セクシュアリティ研究の意義について学ぶ。
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事前…アップロードされた資料を読み、疑問点などを整理しておく。 事後…授業内容を復習、推奨文献、資料等を自主的に探究、アクセスしてみましょう。コメントに対するフォローアップを熟読し、考察を深めましょう。
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2
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対面 「心理学からみるジェンダー」 立脇洋介
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私たちの社会では、様々な女性と男性がいるにもかかわらず、女らしさや男らしさなどの「ジェンダー・ステレオタイプ」が根強く存在します。人々が「女らしさ」や「男らしさ」をどのようにとらえ、「ジェンダー・ステレオタイプ」がなぜ維持されやすいのかを説明します。
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同上
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3
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対面 「九州大学の歴史と女子学生」 佐喜本愛
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現在の大学は、男女関係なく学ぶことができます。しかし、戦前の日本の大学は、旧制高校を卒業した男子学生のための学校であり、正規の学生身分で女性が大学に入学することは考えられていませんでした。そんな中、その「常識」を破って九州大学で学んだ女子学生たちがいました。本講義では、九州大学の女子学生が誕生したその経緯を分析し、その意義について考察していきます。
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同上
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4
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対面 「児童文学、ポップカルチャーをめぐる女性学・男性学」 谷口秀子
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『シンデレラ』などのおとぎ話、子どものための本、漫画、アニメなどには、ステレオタイプ的な女性像・男性像が多く見られます。一方、近年一部には、ステレオタイプ化されていない女性像・男性像を提示しようとする動きもあります。本講義では、子どもやヤングアダルト向けの作品に見られるジェンダーとジェンダーを排除しようとする作品の試みについて概観します。
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同上
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5
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対面 「女性労働の現状と歴史Ⅰ-夫婦共稼ぎの坑内労働~炭鉱の労働過程-」 野依智子
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女性労働の現状を統計データから把握し、そのメカニズムは男性稼ぎ主による家族賃金体系と社会保障制度にあることを知る。家族賃金観念については、炭鉱の労働過程・生活過程に着目して、その成立過程を明らかにする。 本講義の1回目は、世界記憶遺産でもある山本作兵衛の炭鉱画から、炭鉱の労働過程について分析する。
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同上
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6
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対面 「女性労働の現状と歴史Ⅱ-女性労働力の確保と坑内保育所~炭鉱の生活過程」 野依智子
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本講義の2回目は炭鉱の生活過程として、女性労働力確保のために炭鉱が設置した坑内保育所の成立・発展・廃止過程を跡づけながら、夫婦共稼ぎという労働形態が一般的であったことを学ぶ。
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同上
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7
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対面 「女性労働の現状と歴史Ⅲ-機械化と「家族賃金」-」 野依智子
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本講義の3回目は、坑内労働の機械化によって女性労働が解雇される中で、男性稼ぎ主による家族賃金という観念が登場したことを史料から分析する。 本講義を通して、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担意識を問い直す。
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同上
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8
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対面 「男性同盟とホモソーシャリティ」 福元圭太
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アメリカの英文学者セジウィックの「ホモソーシャリティ」の概念を導きの糸として、ドイツにおける男性同盟の消息を追います。対象となる期間は20世紀初頭からナチズムまで。「なぜおやじたちは徒党を組んで女性を周縁化するのか」という極めてアクチュアルな問題について、100年前のドイツを舞台に考えてみましょう。
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同上
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9
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オンライン 「教育とジェンダーⅠ」 中島ゆり
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私たちは自分の努力で学力が決まり、自分や家族の意志で進路を決めているものと考える傾向にありますが、実は学力も進路も人びとのこうすべきという規範と(学校)教育におけるさまざまな実践のなかで水路付けられています。この授業では学力と意欲がいかにジェンダー化されているかについて学びます。
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同上
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10
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オンライン 「教育とジェンダーⅡ」 中島ゆり
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ジェンダー化された進路は、すでにジェンダー化された労働市場に大きく影響を与えられています。本授業は、ジェンダー化された労働市場について学び、そこから進路をジェンダーによっていかに水路付けてしまっているかを考えます。
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同上
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11
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対面 「平和とジェンダー」 木下直子
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平和を実現するには、かつての戦争における人びとの経験や現在どのように安全が脅かされているかなどを直視する必要があります。これらをジェンダーの観点で考察すると、女性に対する暴力の深刻な実態が浮かび上がります。この授業では、いわゆる「慰安婦」問題を取り上げ、日本社会の性差別や娼婦差別、レイシズムの問題が、平和の実現を阻んでいる様相について分析します。
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同上
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12
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対面 「LGBTQ:性をめぐる科学・政治・表現」 中村美亜
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近年、「LGBT」(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニング)と呼ばれるセクシュアル・マイノリティは、同性婚やパートナーシップ制度、企業のダイバーシティーなどで話題となり、メディアでも好意的に取り上げられるようになった。しかし、性やアイデンティティに関する社会の理解はまだ十分とは言えない。本講義では、性をめぐる科学と政治・表現について理解を深めながら、未来志向の人間関係を展望する。
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同上
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13
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対面 「ケアをめぐるジェンダー問題を考える」 山下亜紀子
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これまでのジェンダー平等を求める動きは、特に労働の場を中心とする公的領域において議論されてきました。この授業では、置き去りにされてきた私的領域のジェンダー問題を考えます。特にケアをめぐる問題にアプローチし、国内外の実態を概観するとともに、ケアに関する近年の学説を通じて、この問題の考察を行います。
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同上
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14
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対面 「戦争とジェンダー」 今井宏昌
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今から約80年前に終結した第二次世界大戦の戦場では、性暴力をはじめとする様々な形の性的コンタクトが存在していました。歴史学の分野において、この問題に関する研究をリードしてきたのは、日本を含む東アジアの学界です。そこでは「慰安婦」論争を軸とする形で、「戦場の性」に関する実証研究の蓄積と方法論の確立がなされました。そして21世紀に入ると、これらの成果が欧米の学界にも波及し、2010年代には「戦場の性」をめぐる比較史の構築が目指されることになります。この授業では、日本と同じ枢軸国であり敗戦国であるドイツを事例に、第二次世界大戦下における「戦場の性」の問題を紐解いていき、さらにはそこで生じた議論を東アジアの議論とどのようにつなげてゆけるのかを考えてみたいと思います。
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同上
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15
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対面 「社会学は性的マイノリティをどのように捉えてきたのか」 井上智史
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この授業では社会学の分野において性的マイノリティを対象とする研究がどのように展開されてきたのかについて学び、今後の研究において求められる視点について考える。同性愛、性別越境をスティグマとして捉え、彼らのアイデンティティの抑圧に注目する研究や、抑圧されたアイデンティティの解放に注目する研究について解説をした後に、「脆弱性」の概念を糸口に新たな研究の視点を展望する。
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同上
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